具体的には、判断能力が不十分なために不利益を被る可能性のある知的障害のある方や精神障害のある方、認知症の方々等を対象に、法律で保護し、支援する制度です。
精神上の障害によって判断能力が低下すると、契約の締結などの法律行為や、財産管理など自分で行うことが困難になったり、悪徳商法の被害にあうなどの不利益を被ることがあります。
このような方々のために、代わりに契約をしたり、財産の管理を行うなどして、本人をサポートいたします。
成年後見制度には、すでに判断能力が低下している場合に利用する法定後見制度と、判断能力が十分ある間に、将来に備えて信頼できる第三者に依頼しておく任意後見制度の2種類があります。
身上監護面や財産管理の他、遺言書の作成、各種契約書の作成代理など、あらゆる支援体制を整え総合的にアドバイスさせていただきます。
万一の事故に対する保険にも加入しておりますので、安心してご相談下さい。
家庭裁判所は、本人の個別事情に応じて、適切な援助者(後見人・保佐人・補助人のいずれか)を審判に基づいて選び、その選ばれた援助者が、本人に代わって契約などの法律行為や財産管理、身上監護などの必要な支援を行います。これが法定後見制度です。
◆後見・・・常に判断能力に欠ける状態にある人を保護するために成年後見人をつける制度
◆保佐・・・判断能力が著しく不十分な人を保護するために保佐人をつける制度
◆補助・・・判断能力が不十分な人を保護するために補助人をつける制度
◆相談・・・本人の状況や成年後見制度の利用を必要とするに至った経緯から、どの制度や類型を利用するのが本人のために一番よいかを決めます。
◆申立て・・・申立てのできる人は、本人・配偶者・4親等内の親族、成年後見人等、または市町村長がする場合もあります。申立てを行う裁判所は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
事前に医師の診断書等申立てに必要な書類を用意し、申立書類の準備ができたら家庭裁判所に提出します。
◆裁判所による調査・鑑定・・・申立人・後見人等候補者への事情聴取、本人の意思確認親族への意向照会、医師による精神鑑定を行います。
◆審理・審判・・・以上の内容をもとに検討し、後見等開始の審判へ。(申立てから約3カ月程度)
◆成年後見登記・・・成年後見人が審判書謄本を受け取ってから2週間以内にどこからも異議申立てがなければ審判が確定し、その旨の登記がされます。(以前のように戸籍には載りません)
◆後見事務開始・・・家庭裁判所から成年後見人等に必要書類が送付され、1ヶ月以内に財産目録、後見事務計画書を作成して家庭裁判所に提出。その後、後見事務がスタートします。
◆後見事務・・・成年後見人等は本人の収入や支出を確認し、年間の収支予定を立てます。
本人のために、財産管理、療養看護を行い、その状況について収支内容等を記録して家庭裁判所に報告します。
◆後見事務終了・・・本人が亡くなった場合や、成年後見人等が病気などやむを得ない事情により辞任した場合には、後見事務が終了します。
◆成年後見人
成年後見人は、精神的な障害により判断能力がない方を保護するために、本人に代わって、医療や介護を受ける契約を締結したり、預貯金の取引などの財産の管理を行います(代理権)。
その際は、本人の心身の状態及び生活の状況を十分配慮して行う必要があります。
また、もし本人に不利益な契約や財産の処分などが行われた場合には、それを取り消すなどして(取消権)、本人が日常生活に困らないように支援します。
なお、成年後見人にはその職務の重大性から重い責任も課せられています。
◆保佐人
保佐人は、本人が行う金銭の賃借や不動産の売買、自宅の増改築など一定の行為(重要な法律行為)について、本人の不利益とならないように注意しながら、それに同意したり(同意権)、後から取り消したりして(取消権)、本人を支援します。
また、場合によっては、当事者の請求により、本人の同意のもと、家庭裁判所の許可を得て特定の法律行為について代理することができます。
◆補助人
補助人は、家庭裁判所が認めた範囲で、相続手続きなど本人が望む行為について、代理権や同意権、取消権のうち本人が望む形を用いて、本人を支援します。
成年後見人等は本人のために行った職務について、定期的に家庭裁判所に報告をする義務があります。
また、必要に応じて相談をするなど、家庭裁判所の監督のもと職務を遂行することになります。
・銀行で本人名義の口座が使用できない。
・遺産分割協議ができないため、相続手続きができない。
・病院や施設の契約など各種契約を本人ができない。
・公共料金や保険料などを滞納していないかという心配がある。
・悪徳商法などの詐欺の被害に合わないかという心配がある。
任意後見契約では、将来自分がどのような生活をしたいかなど、受けたい援助の内容を細かく決めることができます。
家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、契約の効力が生じます。
将来の財産管理や身上監護に不安を抱えている方には、任意後見制度の利用をお勧めします。
◆任意後見契約・・・話し合った内容を基に、任意後見契約を公正証書によって結びます。契約の内容は、法務局に登記されます。
移行型の場合は、任意後見契約と同時に「見守り契約」や「死後の事務委任特約」を結んでおきます。
◆申立て・・・本人の判断能力が低下してきた場合には、任意後見受任者は家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。(選任までには3か月前後かかりますが、移行型の場合は、財産管理などの委任契約によりその間も事務を行うことができます。
◆後見事務・・・任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見事務がスタートします。
任意後見監督人は任意後見人の事務をチェックし、事務の状況を家庭裁判所に報告します。
◆後見事務終了・・・本人が亡くなった場合は、任意後見契約は終了します。
また、任意後見人が病気などやむを得ない事情により契約を解除したい場合は、家庭裁判所の許可を受けて解除できます。
※任意後見契約に死後事務委任の特約をつけておけば、本人が亡くなった後も葬儀や埋葬、病院等の清算なども任意後見人が行うことができます。
更に、財産の処分等に希望がある場合には、任意後見契約と共に遺言書を作成し、任意後見人を遺言執行者に指定しておくとより安心です。
任意後見人は、その契約内容にもとづいて、本人を支援します。
◆委任契約(見守り契約)
個々の生活状況に合わせた内容の委任契約により、本人を支援します。
例えば、介護サービスの契約や医療契約、入院費の支払いや金融機関との取引等。
◆委任契約から任意後見契約への移行
本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てを行い、選任後任意後見がスタートします。任意後見人は、契約に記載された範囲で、本人に代理して財産管理等を行います。
◆死亡後の事務
民法上の委任契約・任意後見契約は、本人の死亡により終了しますが、死亡後も引き続いて葬儀や埋葬、病院への支払い清算等を行う死後事務委任契約の特約がある場合には、本人が死亡後も支援が可能です。
更に、任意後見契約と共に遺言書を作成し、任意後見人を遺言執行者に指定しておくとより安心です。
・1人暮らしで、自分が判断能力が低下したときに頼れる人がいない。
・身寄りはいるが、遠方にいて疎遠の状態が続いている。
・もし病院や施設を利用するときに、手続きを代わってしてくれる人がいない。
・年金の手続き等や各種契約をしてくれる人がいない。
・悪徳商法などの詐欺にひっかからないか心配である。
・死亡後のことが気がかり。諸々の手続きをしてくれる人を決めておきたい。